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2006年11月28日 (火)

母の手

明日、東京に戻る。

この一ヶ月の、長野と東京を行ったり来たりの生活も、明日でやめる。

うちの母の手術後の経過は順調で、今週末、もしくは来週早々退院の予定である。

この一ヶ月、私は何が出来たんだろうな。

結局、最初から最後まで自分で体をどんどん壊していって、
ついに最後は喘息から肋骨膜損傷にまでなってコルセットをはめることになってしまった。

歌うに良いコンディションからは、どんどん遠のいていく。

親孝行という偽善の、自己満足のバチなんだろうか、
そんなに人に迷惑変えたつもりは無いが、実はかけてしまったのだろうか。
私のこの一ヶ月は、いったい何だったんだろう。

明日からは、このボロボロの楽器を鳴らす。

今日は最後のお見舞いだったが、いつもと同じく、届け物をして、話をして、肩こりの薬を塗ってあげて終わった。
誰よりも一番しんどいはずの母が、誰よりも私の体を心配してくれた。

「退院したら、ぼちぼちやるから心配しないで。しばらく家事もしなかったから、手の調子も良いし。」


子供の頃、私は母の手が大好きだった。

大きくてしなやかで、白くて、透き通りそうにきれいな手だった。
子供心に憧れたものだ。

リウマチの症状で手が変形した上に、発病後、かれこれ30年にわたり強い薬を飲んできたおかげで、母の爪は何度と無く死んでいる。

今も、ほとんどの爪が死に、新しい爪が生えてくるまでの間、死んだ爪がはがれそうになる度に激痛が走るらしい。

別れ際、涙が流れそうになるのをごまかすため、
「かあさん、手の写真撮って良い?」
と頼んだ。

「良いよ、でもこうしかできないよ」
と、撮らせてくれたのがこの写真。

この手じゃ、杖をつくのもしんどかろうに。

私が大好きだった、母の手。061128_16260001

今も、昔とは違う理由で、大好きだ。

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コメント

うちのお袋もぼろぼろになって死んでった。
でも人間の生き方を見せてもらったと思っている。
「きれいには生きられない」生きることが目的なんだから
それでいいと思っているし、それで十分だと思っている。

でもうちのおっかさんの手も柔らかくて優しかった、最後まで。
いつまでも放せないでいた。忘れられない。

投稿: アーバンな俺 | 2006年11月28日 (火) 23時36分

初めてコメント書かせて頂きますね...

先ずは、お母さんの術後の経過が順調で何よりです。
そして退院も近いとの事で、本当によかったですね。

出しゃばった事を言うようでごめんね。
横前さんの親孝行は、偽善ではないと思うよ^^
お母さんの側にいてあげられたこと...
それだけで、きっとお母さんは、すごく幸せだったと思うもの。
娘からたくさんパワーもらったんじゃないかな。

私の母ね、生前、すごく泣き虫で寂しがり屋だったの。
(私もその血をすっかり受け継いでいるけれど...^^;)

私を産んだ直後に頚椎の手術をした母は、その後遺症で右手が不自由だったの。
幼稚園の頃、一生懸命に私の長い髪を結ってくれる母の手に力がなくて、「こんなユルユルじゃいや~!」って、結わいてくれたゴムを毎朝のように外して困らせていたの...
「ちゃんと結ってあげられなくてごめんね」いつもいつもそう言ってた...。そして泣いていたこともあったの...。

ごめんね、お母さん。
ありがとう、お母さん。
今さらだけれど...つくづくそう言いたい。

寂しがり屋で泣き虫の母は、
意識が薄れていく病院のベッドの上で、
涙を流しながら逝ってしまったけれど...

私も、母の温かくて柔らかな手が大好きでした...


横前さん...今のままでいいんじゃないかな。
お母さんを大切にね^^
そして、ご自身のことも大切にね^^

また、会いましょう~!


投稿: takako | 2006年11月29日 (水) 13時06分

アーバン様

人の手って、なんかその人を表しますよね。
アーバンさんが離せなかったお母さんの手、
すごくあったかかったんだろうな。
お母さんもきっと、握ってくれていること、嬉しかったでしょうね。

はじめてアーバンさんの書き込みを読んで、うるっと来ました。
あ、失礼;

投稿: 2-Dee | 2006年12月 1日 (金) 01時01分

takakoさん

書き込みありがとうございます。

お母様、亡くされてたんですね。
とっても優しいお母様だったんですね。
takakoさんがその心を受け継いでるんですね。
私なんか、そばにいてあげることが出来ただけでもありがたいと思わなければいけませんね。

私もがんばらねばなりません。

次回お会いできるの、楽しみにしてます!

投稿: 2-Dee | 2006年12月 1日 (金) 01時06分

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