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2006年8月14日 (月)

田舎日記 其の四 オニヤンマの夏

私の田舎では、8月13日に盆棚を造り、迎え火を焚いて祖先の霊を家に招く。

今年は仕事の都合で、お盆の前の一週間を実家で過ごした。
そして迎え火を焚く前に、私は東京に戻らねばならなかった。

我が家には泣き虫で体の不自由な母と、情緒あるものには全く無頓着で元気な父がいる。

数年前も、やはりお盆の最中には東京に戻らねばならないという年があった。
これはその年のお盆の話。



母は、泣き上戸で純粋な人なので、よく面白いことを言う。

「オニヤンマってね、昔から不思議な虫なの。オニヤンマになって、亡くなったおじいさんや曾おじいさんたちが様子を見にくるんだよ。今年も一匹のオニヤンマが、盆棚を作っている部屋に飛んできて、ちゃんと棚を確認してから、すーっと出て行ったの。あれはおじいさんがあたしがちゃんと盆棚を作れたか、心配して見に来たんだね。」

一匹、ときには数匹のオニヤンマが、決まって夕方にどこからとも無く飛んで来る。
本当に我が家を知り尽くしたかのように、実に悠々と庭を抜けて、家の周りを数分飛んだ後、どこかへと去って行く。
その度に母が、
「あ、おじいさんが来た!」と嬉しそうにしていた。



数日後、私が東京に戻らねばならない日が来た。
いつものように高速バスのバス停まで、車で送ってもらわなければならない。

父の車に乗り込み、母と、別れのあいさつをして、出発しようとしたとき、
1匹のオニヤンマがどこからともなく現れ、車のフロントガラスにしきりにコツコツ頭をぶつけてきた。
「おじいさんだ!もう行っちゃうのかって、お見送りに来てくれたよ!」と、
涙ぐむ母親の声。
一生懸命手を振る母。

ひぐらしの声が響く、夏の夕。

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コメント

2-beeお帰りなさい。青い空、真っ赤な夕焼けそして満月の夜の唄を聞かせてください。田舎はなくなったものが多くて思い出すと寂しくなります。子供の頃に通っていた幼稚園のあった場所へ行ったことがあります。雑草の中に石段が数段隠れていました。でもその石段をみたとたんに当時の記憶が少し蘇りました。

投稿: lapislazuri | 2006年8月15日 (火) 07時01分

ラピスラズリさん、
わたしゃ「2匹の蜂」じゃなくて「2-Dee」だよ~~!
いっぱいいろいろ考えてきました。
良い曲をたくさん創っていきたいです。
聞いてくださいね。

投稿: 2-Dee | 2006年8月16日 (水) 00時19分

2-deeさん。「蜂」にさせてすみません。

投稿: lapislazuri | 2006年8月16日 (水) 06時29分

いえいえ、蜂は持久力もあるし働き者だし、
蜂にもあやかってがんばりますわ。

投稿: 2-Dee | 2006年8月16日 (水) 11時13分

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