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2006年2月24日 (金)

茨木のり子さんの訃報

先ほど、はじめて知りました。
ここのところずっと、テレビや新聞などの情報源から遠ざかっていたので遅くなりすぎました。
私の大好きな詩人の訃報です。
19日日曜日、亡くなっているのが発見されたそうです。79歳でした。
彼女の詩に出会ったのは5年ほど前。
先日のライブにも詩集を持って行って、朗読コーナーを作ろうかなんて考えてたんです。

彼女の詩は強く、凛としています。
生半可な自分は、何度も背中を叩かれました。
敬意を表して、大好きな詩、2編を、ここに載せさせてください。

「自分の感受性くらい

 ぱさぱさに乾いてゆく心を
 ひとのせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて
 
 気難しくなってきたのを
 友人のせいにはするな
 しなやかさを失ったのはどちらなのか

 苛立つのを
 近親のせいにはするな
 なにもかも下手くそだったのはわたくし

 初心消えかかるのを
 暮しのせいにはするな
 そもそもが ひよわな志にすぎなかった

 駄目なことの一切を
 時代のせいにはするな
 わずかに光る尊厳の放棄

 自分の感受性くらい
 自分で守れ
 ばかものよ」


「さくら

 ことしも生きて
 さくらを見ています
 人は生涯に
 何回ぐらいさくらをみるのかしら
 ものごころつくのが十歳ぐらいなら
 どんなに多くても七十回くらい
 三十回 四十回のひともざら
 なんという少なさだろう

 もっともっと多く見るような気がするのは
 祖先の視覚も
 まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう
 あでやかとも妖しとも不気味とも
 捉えかねる花のいろ
 
 さくらふぶきの下を ふららと歩けば
 一瞬
 名僧のごとくにわかるのです

 死こそ常態
 生はいとしき蜃気楼と」

蜃気楼から、常態に戻られましたね。
でも、あなたの蜃気楼は、私たちの脳裏からは消えることはありません。

79年、お疲れ様でした。
本当に70回のさくらを見て逝ってしまうなんて、
言葉には力がありすぎます。

安らかにお眠りください。
私はあなたを忘れることはないでしょう。

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» 茨木のり子さん逝去 [七五白書 (しらけないために)]
 図書館のいつもの席で知りましたヤフーニュースでの訃報に、急いで地下の書庫に行き、やっと目にした白いカバーの「茨木のり子詩集」4冊と「倚りかからず」を少し気持ちを高ぶらせながら手に取りました。 『歯切れ良い平易な言葉で、幅広い読者をつかんだ詩人の茨木のり子(いばらぎ・のりこ、本名三浦のり子=みうら・のりこ)さんが19日午後、東京都西東京市東伏見の自宅で死去しているのが発見された。79歳。死因は不明』(2006.2.20 共同)... [続きを読む]

受信: 2006年2月24日 (金) 17時26分

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